よりどり見取り図

ご無沙汰しております。

 

職場で来年度からの大きなお仕事が立ち上がり、どたばたしている。簡単に言うと50年ものの建物のリフォームなのだけれど、なにぶん物の絶対量が普通のオフィスとは違う職場なので、それはもう上へ下への大騒ぎである。
いくつものレイアウト計画が、立ち上げられては文句を言われ、練り上げられては指摘を受けて、賽の河原の小石のように際限のないループの最中だ。

専門知識などないにも関わらず、というかまだその前の段階だからなのだが、なぜか私がそれらの見取り図の大半を描いている。
「いつも申し訳ないと思っていて…」と後輩に言われたけれど、私は見取り図を見るのも描くのも好きだ。放っておいたらいつまでも弄っているので、むしろ程よいところで止めてほしいと言ったらほっとした顔をしていた。

 

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何の折に撮ったのか、すっかり忘れた職場の一角

 

外観から間取りを想像するのも楽しいし、見取り図から家を想像するのも楽しい。ミステリの扉に見取り図があるとうきうきするし、読んでいる間、ときどき目を閉じて中を歩く想像もする。たしか高校生のころ、家庭科の時間に「理想の家を作りましょう!」という授業があったが、それ以前もそれ以降も、何度も空想のおうちを建てている。そのときは、友人が家の真ん中にガラスの階段を作っているのに対して、私は階段下収納を組み込んだりして妙に綿密で堅実な家を作ったのだった。

見取り図が好きだからって方向感覚はめちゃくちゃなので、階段を上がると自分がどちらを向いているのかわからなくなるし、この真上は何の部屋、なんていうことも全然わからない。むしろ、見取り図のそういう、私に見えないものを見せてくれるところも好きなのかもしれない。

 

ちょうど妹が家を建てんとしている。当初は中古物件という話もあったので私も物件サイトを眺めたりしていて、案の定脱線して自宅付近の中古住宅など見ていたのだが、かなり理想に近い小ぶりな平家を見つけてしまった。過去の記事で書いた老後の暮らしに良さそうな、4K——4DKか、3LDK扱いかもしれない——の間取り。この洋間を寝室に、この四畳半は着物部屋に、と夢が膨らむような、いかにもちょうど良さそうな家なのだ。転勤さえなければと思うけれど、15年くらいしたら終の住処としてこんな家を買ってもよいななんて思ったりしている。